7月29日(木)、住環境ゼミは、京都迎賓館を参観しました。
迎賓館は来日した各国の賓客を接遇するための施設です。そのため文化財として高い価値があります。
日本文化を表現し、日本建築の最高の技術を集めた建物です。
参観にあたり、サイトから事前予約をしました。
迎賓館西門で予約票の確認と体温チェックを済ませ、そのまま地下で受付と参観料の支払いです。 所持品チェックは金属探知機をくぐるなど、空港の検問さながらの厳重さでした。
参観は10名程度が一緒に、ガイドに従い説明を受けながら参観するガイドツアーです。ツアー開始までの間、諸注意を受け、迎賓館に関する動画が流れているのをみて待ちます。待合の場でスマートフォンに「迎賓館ガイドアプリ」を取得、インストールしました。後日でも、このアプリで館内の写真と解説、地図をみることができます。
いよいよツアー開始、まず迎賓館の正面玄関に案内され、スリッパに履き替えました。「聚楽の間」「夕映えの間」「藤の間」「桐の間」「庭園」「舟の間」を見学しました。
学生らが特に印象に残ったこととして、
・綴織り、蒔絵、截金技法など、日本の伝統工芸の繊細で美しいこと、西陣織の織物に使われている染糸の色の種類は実に1000色。その色数の多さに、日本は自然の彩が豊かなことを再認識したこと、
・藤の間などの床の緞通、カーペットの柄に藤の花びらが舞い散る様子を表現したデザインで、天井から壁、床の足元まですべてを使って壮大に美しく空間演出をしていること、
・庭池の石材は、豊臣秀吉時代の鴨川の橋杭につかれていたものをリサイクルして使っていること、
・庇をあえて深くすることで、館内から庭にむけ、遠方より近景に視線を集める工夫をしたデザインに関心したこと。その庇や鴨居の高さは 外国の方の視線の高さを配慮していること、
ガイドさんの説明がなければ到底気がつかない建築デザインの工夫が至る所にありました。けれども一貫しているのは、デザインを主張するのではなく、館を利用する方々へのおもてなしの脇役として、さりげなく組み込まれている奥ゆかしさに気づかされました。また、伝統技術をふんだんに使う中に、カクテルパーティもできるよう、ライティングを自在に変化させる最新テクノロジーも多く導入されているなど、古来からの伝承技法と最新技術が組み込まれた、日本を象徴する、「迎賓館」にふさわしい建築であることを実感しました。
実際に見学をして自分の目でみることで、日本建築の思慮深さ、伝統工芸の奥深さを体感できたようです。
とても貴重な経験ができました。
<藤の間:歓迎の意味をもつ藤の花で包まれた空間です。カーペットにも藤の花びら模様が。>
<桐の間:12mの一枚板からなる漆塗の座卓。職人さんが素手で磨くため掌はやけど状態になるという一品>
<廊橋から庭池:橋をはさんで片方は海、もう片方は水田をイメージした作庭、錦鯉がゆうゆうと。>
<桐の間から庭:視野が遮られることなく横に広がるように工夫されています>