住居学領域の、「住環境ゼミ」7人で、「聴竹居」を見学にいきました。
「聴竹居(重要文化財)」は、昭和3年に、藤井厚二が自宅として建築した住居です。
地球環境を守るために、化石燃料(エネルギー)に頼らない生産活動や日常生活を、ということが今日、世界的にも叫ばれています。
住宅においても、電気に頼る住環境のコントロール(アクティブ手法)ではなく、自然気候を活用したコントロール(パッシブ手法)が望ましいとされ、環境共生住宅が着目されています。
80年前に建てられた「聴竹居」は、環境共生住宅を実践したもので、藤井厚二の先進性が高く評価されているものです。
案内の方がとても丁寧にわかりやすく説明してくださいました。ありがとうございました。
建築の構造から細部の隅々にいたるまで一切の妥協なく、計算され、暮らしやすさが追及されていることがよくわかりました。
その一部を紹介します。
現在でいうところのクールチューブを床下に通して地下の冷気を室内にとりこみ、エアコンのなかった当時、天然の涼を得る工夫がされていること、サンルームのガラス窓は方立を無くし景観が広くよくみえるようにしていること、木枠の窓は(当時アルミサッシはなかったので)冬場、隙間風の寒さが課題になるが、藤井はガラス枠と窓枠にそれぞれ凸凹の溝を彫ることで、閉めたとき隙間なく、窓の気密性を高くしていること。
また、家具についても、(当時はまだ和装が主流であったため)和装の女性の帯が崩れないように背もたれを高めに工夫した椅子は座面が広く、椅子の上で正座もできるようになっていること。他には、欄間を幅広くとってそこに神棚を収納していることなどなど。
現在は流通している建築部材を組み合わせることが建築の主流となっていますが、必要なものを一から考え、作り、組み上げていく、正に「建築の原点」に触れることができました。
現在にも通用する最先端の工夫が随所に凝らされ、80年前に建てられたものとは思えない瑞々しさを感じました。
学生ともどもとても勉強になりました。
建物内部の写真のアップは禁止されています。上の写真は聴竹居の庭です。背景にちらっと映っているのは建物外観(サンルームの窓)です。
詳しく知りたい方は、「聴竹居」はHPを出されていますのでそちらをご覧ください。