ラボ・Letter

【京都ノートルダム女子大学 現代人間学部 生活環境学科】

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米粉を利用したカステラの物性と嗜好性(ゼミ研究) #ノートルダム#大学

2018年12月18日

京都ノートルダム女子大学、福祉生活デザイン学科の

「"調理学"研究室」のゼミ研究を紹介します。

研究タイトルは「米粉を利用したカステラの物性と嗜好性」


お米

主食として日本を支えてきた「米」の消費量が年々減少傾向にあります。一方、パンや麺の原料である小麦はそのほとんどを輸入に頼っており、世界的な食料需給(生産と消費)の影響を受け、将来の安定供給に不安が生じています。

そのため、食料自給力の向上は喫緊の課題であり、その解決法のひとつとして「米粉」のパンや麺など様々な食品への活用が注目されています。

そこで、本研究は米粉の消費拡大の一助とすることを目的として、カステラについて、小麦粉を米粉に代替することでその物性や嗜好性にどのように影響するかを検討しました。

研究方法は、①強力粉100%(コントロール)、②薄力粉100%、③うるち米粉100%、④うるち米粉ともち米粉を50%ずつ混合した粉(混合粉)、⑤もち米粉100%の粉、これら5種類の粉を用いたカステラを焼成し、物性測定と官能評価を行いました。

カステラ

物性測定の結果から、
うるち米粉を用いたカステラは、小麦粉類を用いたカステラとほぼ同様に膨らみ、さらにもっともやわらかいことが示されました。
一方で、同じ米粉でも、もち米粉を用いたカステラは焼き上がりの重量が軽く、高さも低く、硬かったことから、もち米粉は小麦粉やうるち米粉に比べて膨化力や保水性が小さいことが明らかになりました。

官能評価においては、
うるち米を用いたカステラの評価が総合的には一番高くなりましたが、もち米粉100%のカステラもしっとりとして弾力があるとされ、他の粉とは異なる食感が高い評価を得ました。


同じ米粉でも、うるち米粉は製パン用、製菓用としてすでにかなり普及し、多くの食品への利用が試みられていますが、
もち米粉は古くからだんごや求肥など和菓子には用いられているものの、まだまだ一般的な食素材とはいえません。

しかしながら、今回の実験でカステラの新食感という観点で、もち米粉についても用途拡大の可能性が示唆されました。

今後の課題として、もち米粉で評価の低かった項目、特にふくらみについて改善を検討することで、もち米粉の需要を増やすことができるのではないかと考えています。





Posted by 京都ノートルダム女子大学 現代人間学部 生活環境学科 │ 食物学領域研究活動