ラボ・Letter

【京都ノートルダム女子大学 現代人間学部 生活環境学科】

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生活科学、家族、生活経営・経済、精神保健福祉の領域からQOLを追究する学科ブログです
授業の様子、研究紹介、コラムなどを手紙(Letter)のように綴ります

今年も 聴竹居 見学しました。   #京都  #重要文化財 #環境工学

2019年10月24日

京都ノートルダム女子大学 福祉生活デザイン学科には、住居学分野があります。

住環境ゼミは「聴竹居」へ、今年も見学に行きました。

藤井厚二によって昭和3年に建てられた実験住宅で、重要文化財です。

聴竹居3

聴竹居倶楽部の事務局長、田邊さまに説明していただきました。

電気やガスなどの熱源があまり普及していなかった当時、環境工学に基づき自然の力を利用した換気、通風は究極のエコシステムであること。
間取りは接客重視の中廊下型スタイルが主流の当時としては、画期的な居間中心(家族重視)の間取りスタイルであること。

素晴らしい景観を望むために計算された縁側の額縁のような窓枠と庇の出。

置き家具は少なくし、その代わり各所に設けられた造作収納は、耐震補強も兼ねていること。

C.R.マッキントッシュからインスピレーションを受けた線を強調したデザイン、など

どこもかしこも一切の妥協なくデザインされ、住む人の暮らしや住みやすさを徹底的に考えぬいた住宅計画です。
またその計画を建築物として実現した、宮大工でもあった棟梁の技能の高さに驚かされます。


「聴竹居の保存活動」 についても教えていただきました。
一般に、重要文化財になると、見学者の増加やマナーをめぐって、近隣住民からクレームが起こり、保存団体と住民との対立もよくあるそうです。

ここでは近隣住民の大半が聴竹居倶楽部のメンバーとなり、ガイドや案内に参加しています。つまり保存活動に住民を巻き込むことでクレームは起こらず、地域が一体となり積極的に重要文化財を守るというシステムをつくり、成功しているとのこと。
少子高齢化の日本において、地域のあり方が問われる昨今ですが、文化財を守ることを通して住民が一体となるというこのシステムはとても興味深く感銘をうけました。


丁寧にご説明をしていただき、とても勉強になりました。
ゼミ学生も事前にレポートを作成して予習し伺いましたが、やはり実物を見学したことと、細やかに説明いただいたことでより深く学ぶことができたようです。
田邊さま、ありがとうございました。

聴竹居4

Posted by 京都ノートルダム女子大学 現代人間学部 生活環境学科 │ 住居学領域