この授業で学ぶ最初のことは「女性は『社会的弱者』である」ということです。女性が弱いのではありません。社会的に「弱者」に位置づけられてしまっているのです。最初にこの言葉を聞くと「えっ、そんなことないでしょう。私、そんな経験したことないし」という反応がほとんどなのです。しかし学んでいくうちに、日本のジェンダーギャップ指数は先進国で最下位であること、国会などの議員の女性の少なさ、育児や家事・介護は女性がするものという意識、女性の非正規雇用の多さ、そして給与の少なさなどを知ることにより、「ああ、本当だ」という認識に変わっていきます。そして受講している学生から「差別があたりまえ化すると見えなくなるのだ」という名言がでてくるほど、あたりまえになっていて気づかなかった自分たちの意識にも気づいていきます。
もうひとつ、この授業で受講生が変化していくのは「自分が行動することで社会を変える」という意識です。日本や世界の女性たちの活躍や活動を見聞きすることによって、「自分にもできるかもしれない」、「私も何か行動しないといけない」と考えはじめるようなっています。

そのような授業の8回目、本学卒業生で市役所の子育て支援部門で活躍している原田愛子さんにゲストでお話ししていただきました。オンラインでお話を伺いました。たくさんの女性が多くの困難に直面し、その中で子ども虐待やDVという形で原田さんの前に現れます。そのたくさんの女性を「決して見捨てない」「決して支援ができないと諦めない」「その人の人生に寄りそって支援する」という原田さんの活動にすべての学生がとても感激しながらお話を伺うことができました。

学生の感想には、「今回は講師の方に直接お話を聞きいつもの授業よりより身近に感じて学ぶことが出来たなと思います」、「相手の気持ちや言葉などを否定せず、あきらめずにどんな人にも寄り添ってあげる原田愛子さんにとても尊敬の念を持ちました」、「虐待する親も支援を必要としているという視点が大切だと分かった」、「このように一人で悩む人に原田さんのような心強い味方がいると知ってもらう事が一番大切だと思いました」のように子育てに悩む親の思いやその背景がリアルに想像できるようになるとともに、そのような支援にとても魅力を感じているようでした。

この授業では、今後「DV」や「貧困」という状況にある「女性」や「家族」への支援についてもゲストの講義を予定しています(「貧困」のテーマについて話していただくのも本学卒業生です)。より身近な問題としてさらに学びが深められるようにと願っています。 (文責・佐藤純)